工場のセキュリティ対策の必要性

OT（OperationalTechnology）ネットワークは、工場のハードウェアを制御し運用するためのネットワークです。OTネットワークはメーカーが製造業などの工場に合わせて独自に構築しており、システム構成は非公開となっています。従来のコントローラーは、機器との接続に独自のOSや通信プロトコルを使っていました。しかしコスト削減のため、近年はWindowsなどの汎用OSやTCPなどの標準プロトコルが使われるようになっています。

需要の急激な増減対策として、スマートファクトリー化も進みました。ITネットワークやクラウド上の各種システムなどとつなげて、サプライチェーンなどとも情報を共有をするようになり、OTネットワークは閉鎖的なシステムではなくなりつつあります。そのため工場のセキュリティ強化の必要性が生じています。工場内の機器のメンテナンスを任せている事業者が持ち込んだ端末やUSBメモリなどがマルウェアに感染していたり、従業員が知らずにマルウェアに感染した媒体を使ったりして感染することもありますが、ネットワークを介したサイバー攻撃も増えています。

OTネットワークに付随したITネットワークを踏み台としてOTネットワークが攻撃されたり、リモートメンテナンス用のネットワーク機器がセキュリティホールになることもあります。生産設備は一度稼働すると20年、30年といった単位で動作を続けるため、IT設備よりも寿命が短くなります。古い設備もまた攻撃者にとって格好のターゲットとなるため、インターネットに接続していないとしてもセキュリティ対策が必要です。